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【レポート】リゾートテニス発祥の地に、新しい風を敷く

軽井沢プリンスホテル「あそびの森 アクティビティホール」敷設サポート同行記 2026.7.31

関西で生まれ育った私にとって、軽井沢は正直なところ「名前は知っているけれど、実像はよく分からない場所」でした。
その軽井沢の、まさに中心に立つ軽井沢プリンスホテル。日本のリゾートテニス発祥の地とも言えるこの場所に、ピックルボールコートが入る。敷設サポートとして動員された一日は、単なる施工作業ではなく、ひとつの歴史の続きに立ち会う時間でもありました。

森に面したホールに完成したピックルボールコート
「あそびの森 アクティビティホール」に完成したピックルボールコート

テニスの聖地に、ピックルボールが入るということ

導入場所となった軽井沢プリンスホテルは、軽井沢という土地のど真ん中に位置しています。リゾートテニス文化がこの国に根づいていく、その出発点となったエリアです。ラケットスポーツの歴史が幾層にも積み重なってきた場所に、いま新しいラケットスポーツとしてピックルボールのコートが加わる。現地に立って改めて考えると、この一枚のコートが持つ意味は決して小さくないと感じました。

「新しいスポーツを、新しい場所に持ち込む」のではなく、「ラケットスポーツが育ってきた場所に、その次の世代を置く」。同じ敷設作業でも、そう捉えると手つきの緊張感がまるで違ってきます。

カルプリの森の奥、通行許可を得て現場へ

現場は軽井沢プリンスホテルの敷地内、さらにその奥。カルプリの森の中にあります。通常は車で立ち入ることのできないエリアですが、今回は特別に通行許可をいただいて中へ入りました。木々のあいだを抜けた先に現れるのが、今回の敷設場所である「あそびの森 アクティビティホール」です。

森に囲まれた屋内施設。環境としては申し分ありません。――ただし、扉を開けた瞬間、想定していた前提がひとつ崩れることになります。

現場に着いて一番驚いたこと ― カーペットが残っていた

事前の打ち合わせでは、既存のカーペットを取り除いた上でコートマットを敷設する段取りでした。ところが現場に到着してみると、カーペットは敷きっぱなしのまま。その上から敷設すると聞いたとき、正直、私が真っ先に心配したのはボールの弾みへの影響でした。

ピックルボールは、バウンドの質がプレー体験に直結する競技です。下地がクッション性の高いカーペットのままであれば、弾みに不具合が出る可能性は否定できません。まずは掃除機と掃き掃除で下地を一度きれいにし、その状態で仮置きの敷設を試すところから始めました。

台車を使ってコートマットのロールを搬入する作業者たち
台車を使い、4人がかりでロールを敷設場所まで搬入

今回のコートマット仕様

サイズ: 7.2m(1.8m幅 × 4ロール)× 17m

比較(イベント用マット): 7.2m × 15m(4ロール構成)。今回のマットは若干の重量増でしたが、4名の作業者で敷設場所まで問題なく搬入できました。

固定資材: 高耐久テープ(アルミガラスクロステープ)/マット裏面から固定

数字だけ見ると2mの差ですが、ロール状のマットは長さがそのまま「取り回しの重さ」として効いてきます。搬入がスムーズに終わったのは、事前に人数を確保できていたことに尽きます。

仮置きから本設へ ― 判断が固まっていく過程

カーペットの上にどこまで敷くかを見極めるため、まずは1ロールだけを広げてみました。おおよそのイメージは掴めたものの、1ロールでは完成形の像がどうしても固まりきらない。そこで全ロールを広げ、実際に間を詰めた状態まで持っていくことにしました。

カーペットの上でコートマットのロールを広げる作業者
まずは1ロールだけを広げ、どこまで敷くかを見極める

結果として、これが判断の分かれ目になります。全面を広げてしまうと、「もう一度回収してカーペットを剥がす」という行為そのものの心理的ハードルが一気に上がる。最終的には、カーペットを剥がさずそのまま運用する方針が決まりました。

広げた瞬間に、選択肢はひとつ減っていた。仮置きは「確認」であると同時に、すでに「決定」でもある。

ここは施工の進め方として、非常に示唆的なポイントだったと感じています。

4人の呼吸が揃うとき ― 詰めて、開けて、裏から留める

本設の工程は、ロール同士の間を詰める作業と、いったん開けて裏側から高耐久テープ(アルミガラスクロステープ)で留める作業の繰り返しです。文章にすると単純ですが、実際には4名以上の工員全員が息を合わせないと成立しません。誰か一人のタイミングがずれるだけで、詰めた継ぎ目が動いてしまうからです。

4人がかりで継ぎ目の位置を合わせる作業者たち
継ぎ目を詰める工程。声を掛け合い、全員のタイミングを揃える

1ロール目は、正直に言って苦労しました。力の入れ方も、声の掛け方も、まだ揃っていない。ところが2ロール目、3ロール目と進むにつれて、明らかに速くなっていく。手順が身体に入り、誰が何をするかが言葉なしで共有されていく感覚がありました。

ホール全体に広がったコートマットと作業する4人
2ロール目、3ロール目と進むほど作業スピードが上がっていった

作業結果

所要時間: 全作業をおよそ1時間で完了。

所感: 想定外のカーペット問題を抱えたスタートだったことを思えば、十分に手応えのある一日でした。

今回の課題 ― 敷設前の「区画チェック」を必ず

今回いちばんの学びは、敷設前に区画をチェックする工程を必ず挟むことです。下地の状態、実際に使える範囲、どこを基準線にするのか。これらを敷く前に確認できていれば、仮置きで迷う時間も、判断を後戻りさせられない状況も避けられます。

逆に言えば、この一手間さえ標準化できれば、敷設作業の安定度は確実に上がる。現場で失った時間ではなく、次に活かせる具体的な改善点として持ち帰れたことが、今回の大きな収穫でした。

おわりに

ネットとパドルが置かれた完成後のピックルボールコート
ネットを張り、パドルとボールを置けば、そこはもうコートになる

森の中の施設に、1時間かけて1面のコートが立ち上がる。その1面は、リゾートテニス発祥の地に置かれた、ピックルボールの新しい入口でもあります。軽井沢という土地の歴史に、今回の敷設が小さくとも確かな一行を書き加えられたのなら、サポートとして動員された身としてこれ以上のことはありません。

なお、当日いちばん気を揉んだカーペットについては、現在はすでに取り除かれているとのことです。心配していた弾みの不安もなく、プレーを行うには最高の状態が整っています。軽井沢の森の中に生まれたこの一面を、ぜひ現地でご体験ください。

Wizard株式会社