【R&D】ピックルボール向け統合型レーティングプラットフォーム「HamBuns」の開発と実証実験
ピックルボールの競技人口が日本国内でも急増する中、プレイヤーのスキルを適正に評価し、練習や大会運営を円滑化する仕組みの構築が急務となっています。Wizard Labでは、既存の課題を解決する統合型レーティングプラットフォーム「HamBuns(ハンバンズ)」の開発を進めています。
本記事では、その開発背景から独自のアルゴリズム設計、実際のアプリ画面を用いた機能の概要、および今後の実証実験計画についてご報告します。
1. プロジェクトの背景と既存の課題
ピックルボールの国内普及に伴い、プレイヤーからは「自分に合った練習相手が見つからない」「初心者向けの大会に中上級者がエントリーしてしまい、レベルのミスマッチが起きている」といった切実な声が上がっています。
海外には先行アプリ(DUPRなど)が存在していましたが、試合数が少ない現状ではレーティングが機能しづらく、年代別カテゴリが主流になっている等の理由から、日本の一般層には普及していません。
- 実力を示す「ものさし」の不在によるミスマッチ
客観的なスキルレーティングが機能していないため、大会でのレベル不適合や、練習相手を探す際の実力差によるミスマッチが多発しています。 - コミュニティ・イベント運営の分散化
イベント募集はスポーツプラットフォーム(テニスベア等)、連絡はLINEというようにツールが分散しており、練習会を主催するチームや協会、施設運営者の大きな負担となっています。
2. 開発の狙いとWizard Labの強み(Why Us?)
HamBunsが最もターゲットとしているのは、日々の練習会や大会を主催している「チーム・協会・施設」の運営者様です。
Wizard Labとして自社アプリの開発は初となりますが、我々には長年「卓球業界」においてITインフラが業界の繁栄にどのようなインパクトをもたらすか、そして「何が必要で、何をしてはいけないか」を間近で見てきた強みがあります。そのノウハウと要件定義力を、ピックルボール業界の課題解決に還元したいという想いが本プロジェクトの原動力です。
3. 実装された解決策とコア機能
これらの背景課題を解決すべく、HamBunsは日常の練習から大会運営までをシームレスに繋ぐプラットフォームとして設計されました。
レーティングを活用したスキル分析と試合記録
ユーザーのスキルはレーダーチャートで可視化され、直感的に自身のプレースタイルや強みを把握できます。試合のスコアもQRコードを用いた非接触スキャンで簡単に記録でき、システムに即座に反映されます。

図1: プレイヤーのプロフィールとレーティング統計画面。

図2: スキルパラメータの可視化。自身の強みと過去の対戦履歴が一目で把握可能。

図3: コート種別の選択やQRコードスキャンを用いたスムーズな対戦記録入力画面。
独自のゲームマッチングとギルド(チーム)運営
普段の練習会では、乱数表を用いてランダムに対戦を組むチームが多く見受けられます。HamBunsでは、蓄積されたレーティングデータを活用し、手元のスマートフォンから適切な対戦カードを自動生成する機能を実装しました。
マッチングモードの種類
パーティーモード: 対戦するペア同士の合計レートが均等になるようにマッチングし、白熱した試合を創出します。
バランスモード: コートに立つ4人のレート差が開きすぎないように調整し、極端な実力差によるゲームの破綻を防ぎます。
また、チーム・施設・団体を総称する「ギルド」機能により、メンバーの平均レートの把握から「シンデレラマッチ」や他ギルドとの対戦編成など、コミュニティ運営を強力にサポートします。

図4: ギルドのダッシュボード。平均レート等をリアルタイム算出。

図5: アプリ内から直接マッチの編成・管理が可能。

図6: 練習会や大会のイベント作成機能。定員や参加費、練習メニュー比率まで詳細に設定可能。
4. 実証実験(αテスト・βテスト)の展開
本システムの有用性を検証するため、実運用環境でのテストフェーズに移行します。
- αテストの実施
本格的なチーム運営を行っている「京都府長岡京市」を拠点に活動するピックルボールチームの皆様にご協力いただき、現場での実際の運用テストを開始します。日常的な乱数調整や試合結果の入力フローを検証し、UI/UXの改善点を洗い出します。 - βテストの実施(2026年8月予定)
αテストのフィードバックを基に不具合修正を行い、複数のチームや団体を対象としたβテストへ規模を拡大する予定です。
5. 今後の展望とビジネスモデル:インフラとしての普及へ
「とにかくまずは全国のプレイヤーや主催者に使っていただきたい」という想いから、原則無料での公開を予定しています。「日本発・日本で普及するためのアプリ」を目指し、将来的な公式大会でも耐えうるようバックエンドのアーキテクチャ開発を丁寧に行ってきました。
また、HamBunsは単なるレーティング管理アプリにとどまらず、最先端のAI技術を活用した機能拡張を2026年9月に向けて計画しています。
実装予定のAI機能
AI自然言語検索・AIコーチ:
「初心者歓迎で、週末に活動しているマッチ度80%以上のチームを探して」といった自然言語での検索機能や、過去の対戦データから弱点・改善点を提示するAIコーチ機能の実装を予定しています。
Windows版「厳格モード」と記事自動生成:
本格的な大会向けのWindows版クライアントによる「厳格モード」を開発中です。このモードで開催された試合において、特筆すべき試合をAIが自動分析します。試合終了後に一時的なグループチャットが立ち上がり、AIが選手にインタビューを実施。その対話内容と試合データを基に、試合のハイライト記事をAIが自動生成する画期的なシステムの導入を予定しています。
テクノロジーの力でピックルボールの競技環境をより楽しく、より最適化するために、引き続きR&Dを進めてまいります。
このプロジェクトの今後の広がりに、ぜひご期待ください。現在、このビジョンに共感いただける個人・団体投資家様も広く募集しております。
Wizard Lab R&D Team